「実務経験 30年 以上」の「一級建築士・マンション管理士」によるマンション・団地の「疑問・お困りごと」・「大規模修繕工事の進め方」・「安心・快適な暮らしのヒント」などのアドバイスをする個人のブログです。

【より良い暮らし】マンション・団地 快適な生活(断熱)

【より良い暮らし】マンション・団地 快適な生活(断熱)

「快適に住まう」ということの本当の「意味」を考えてみましょう。

お住まいは、屋根と壁と床があって、「雨」「風」などから守ってくれます。
そういった最低限の機能が確保され、その上で「快適」に住まうための重要な「要素」は、「断熱」「換気」「遮音」の3つになります。

長く同じマンション・団地に住んでいると、最新のマンション・団地との「差」が分からないと思います。

たまに、旅行などでホテルに泊まった際に、「ぐっすり眠れた」という経験はないでしょうか。
旅行で「疲れた」などの要因もあるかと思いますが、ホテルの部屋自体の「断熱」「換気」「遮音」の性能が高く、あまり「意識していない」と思いますが、実は「快適性」が高いことが「要因」の一つだと思います。

「快適性」は、「身体の健康」や「精神の健康」にまで、大きく影響を与えているのです。
「快適性」の追求は、決して「贅沢」なことではありません。
「平均寿命」が延びている、要因として、「住宅の快適性」の向上が大きく関わっていると考えます。

本コラムは「断熱」についてになります。

断熱の重要性

「快適」という場合に、1番実感できるのが、「涼しい」「温かい」という、「温度」についての体感だと思います。
分かりやすい部分でもあり、「お住まい」の中でも「進化」が著しい部分です。

マンション・団地においては、快適性の向上は、「断熱」つまり、「温度」に関するところが大きいでしょう。
「断熱」がしっかりしていると、「快適性」は飛躍的に向上します。

その「重要性」について、よく分かる調査があります。

2021年1月24日に発表された、国交省による、以下の調査報道です。
断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告(第3回)」
調査自体は、「日本サステナブル建築協会」が行ったものです。

「中間報告」ではありますが、タイトルには「住宅内の室温の変化が居住者の健康に与える影響とは? 調査結果から得られつつある「新たな知見」について報告します」とあります。

何が分かったのかというと、「健康」に大きな影響があるということなのです。
以下がその「要点」をまとめたものです。

  1. 室温が年間を通じて安定している住宅では、居住者の血圧の季節差が顕著に小さい。
  2. 居住者の血圧は、部屋間の温度差が大きく、床近傍の室温が低い住宅で有意に高い。
  3. 断熱改修後に、居住者の起床時の最高血圧が有意に低下。
  4. 室温が低い家では、コレステロール値が基準範囲を超える人、心電図の異常所見がある人が有意に多い。
  5. 就寝前の室温が低い住宅ほど、過活動膀胱症状を有する人が有意に多い。断熱改修後に就寝前居間室温が上昇した住宅では、過活動膀胱症状が有意に緩和。
  6. 床近傍の室温が低い住宅では、様々な疾病・症状を有する人が有意に多い。
  7. 断熱改修に伴う室温上昇によって暖房習慣が変化した住宅では、住宅内身体活動時間が有意に増加。

※国交省 断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告(第3回)」国交省の報道資料より抜粋

興味深い結果ですね。
「断熱」の重要性がよく分かります。

断熱改修とは

ここで言っている「断熱改修」とはどんなことなのでしょうか。

具体的には、大きく二つ
「窓・壁などの断熱」と「非居室の暖房」です。

「窓・壁などの断熱」は、窓、壁、床、天井を断熱することです。
マンション・団地の中間階は、床と天井はあまり関係しません。
特に大事なのが、「窓」と「壁」です。

「窓」の断熱

窓はとても「進化」をしています。

「窓」というものは、「サッシ」と「ガラス」によって構成されています。
「サッシ」は、「金属」や「樹脂」などで出来ています。

現在主流の「アルミサッシ」は、「1960年代」の後半から普及が進みました。本格的な普及は、「1970年代」からのようです。
この頃の「公団」のマンション・団地で採用されています。
この時は、「断熱」というよりも、「大量生産」「コストダウン」が主な目的であったようです。

この頃の「アルミサッシ」を見ると、びっくりするくらい、「ペナペナ」で頼りない感じです。
ずっと同じマンション・団地にお住まいの方は、「これが普通」と思っているかもしれません。
今の「サッシ」に触れてみると、「まったく別もの」であることが、分かると思います。
すごく重いので、最初はびっくりするかもしれません。
この重さが、断熱などの「性能」につながっています、当初と比較して「アルミサッシ」の断熱性能は、かなり上がっています。

「ガラス」の進化も顕著です。

今のマンション・団地の窓ガラスは「ペアガラス」という、2枚のガラスの間に「空気」が入っているものが「当たり前」になっています。

これを聞いて、「当然」と思う方と「そうなの?」と思う方に分かれるかと思います。
昔の窓ガラスは、厚さが「3mm」、せいぜい「5mm」程度のものが1枚だけでした。
まったく「断熱」にはなっておらず、むしろ、「熱が逃げる」「熱が入ってくる」1番の原因だったのです。
「ペアガラス」は、「断熱性」が非常に高く、現在のマンション・団地では「標準」で「当たり前」なのです。

最近では、更に高性能の「LOW-Eガラス」(ローイー ガラス)というものがあります。
これは、ペアガラスの内側の部分に、透明の「反射膜」がコーティングされていて、「熱」が効果的に遮断するようになっています。
ここまでくると、真夏でも真冬でも、ガラスからのガラスからの「熱損失」や「熱流入」をかなり低減することが出来ます。

但し、透明とはいえ、「反射膜」がコーティングされているので、少し色がついており、「透明度」がやや低いガラスになります。
主に「オフィスビル」や「超高層マンション」などに採用されています。

また、ガラスの間に入れる空気を、より断熱性の高い「アルゴンガス」や更に断熱性の高い「クリプトンガス」を入れたものや、ガラスを3枚にして、空気層を2つにした、「トリプルガラス」もあります。
これらは、主に「北欧」などの寒さの厳しい国で使われています。

現在の「窓」は、「サッシ」と「ガラス」の進化で、非常に「断熱性」の高いものになっています。

「壁」の断熱

マンション・団地の壁は「コンクリート」で出来ています。
「ALC」と呼ばれる、コンクリートの2次製品の場合もありますが、それも「コンクリート」の一種です。
コンクリートも「断熱性」は、「ある程度」ありますが、決して「高い性能」ではありません。

通常は、断熱のために「断熱材」がコンクリート壁の内側に吹き付けられています。
なかなか、見る機会はありませんが、「現場発泡ウレタン」と呼ばれる「吹付け硬質発泡ウレタン」というものです。
黄色や青色をした「モコモコ」した材料です。コンクリートの壁に吹付けすると固まります。固さはちょうど「発泡スチロール」くらいの感じです。

これを「厚く」吹き付けるほど、断熱性は高くなります。
また、材質自体も何種類もあって、「熱伝導率」が低いほどものほど、「断熱性能」が高いのです。

断熱材の「厚み」は、基準が定められており、例えば都内であれば、地域区分は「6」となり、硬質ウレタンの「A種1」を使用する場合で、コンクリートの壁に吹付ける場合には「30mm」以上が必要となります。
これが、北海道などであれば、「65mm」以上となります。

あくまで最低基準なので、性能を高くしたければ、もっと「厚く」しても良いのです。
断熱性を高くするために、最低基準より断熱材の「厚みを増やすこと」が効果的だと思います。
但し、その分、壁が厚くなるので数センチですが、部屋が狭くなります。

もっと良い方法としては、「外断熱」という工法があります。これは、コンクリート壁の「外側」に断熱材を貼る工法です。
お住まいの「外側」であり「共用部分」になるので、マンション・団地の場合には、個人でそのように「改修」するのは、難しいでしょう。
少ないですが、管理組合で決議して、マンション・団地全体で「外断熱」を実施した事例もあります。

非居室の暖房

時々、テレビ番組などでも取り上げられていますが、先の調査結果にもあった通り、部屋間の温度差は、「血圧」に影響があります。

暖かい部屋から寒い部屋に移動すると、血圧が「上昇」するのです。

なかなか、対応は難しいのですが、「非居室」にも、暖房を設置すると良いのです。
最近では、割と安価な「パネルヒーター」や「オイルヒーター」が販売されています。
これを、「トイレ」「洗面脱衣室」「キッチン」などに設置すると良いでしょう。

出来れば、「パネルヒーター」などをつけたままにしておくと良いのですが、「電気代」が気になりますね。

ですが、お住まいの「断熱性」を高くしてあれば、一度温めると、「冷めにくく」なっているので、設定温度になれば、自動で電気が切れる機能があれば、それほどは電気代は掛からないかと思います。

理想の住宅

北海道などから東京に来た方が、「東京は寒い」と言われるそうです。
これは、特にお住まいのことなのです。

寒冷地の住宅は「厳しい環境」の中にあるので、温度に対する「意識が高く」対策をしっかりしています。
とても暖かいので、真冬でもTシャツ1枚で生活できるそうです。

「断熱性能」が非常に高く、一度温めると「冷めにくい」ので、お住まいの中の「温度」が安定しているのです。

温熱環境的に「理想の住宅」にするにはどうすれば良いでしょうか。

  1. 「壁」および窓や玄関ドアなどの「開口部」の断熱性能を高くする。
  2. 「非居室」にも、パネルヒーターなど局所暖房を設置する。
  3. 「熱交換式」の換気設備にする。(熱を逃さない、外からの冷気や暖気を入れないため)

こういった、対策を十分にしてあれば、「冷気」や「暖気」が逃げません、エアコンなどの運転は最小限で済むので、結果として「電気代」が安くすみます。

季節によって、「暑い」「寒い」は当たり前ですが、「対策をしている」お住まいと「対策をしていない」お住まいとでは、快適性が「全然違う」のです。

そしてこれが、「健康」にも大きく影響しています。

特に古いマンション・団地にお住まいの「ご高齢の方」にこそ、積極的にも 「対策」の導入が必要なのです。

「暑い」「寒い」は当たり前とか、快適にするための対策を「贅沢」だと思わずに、「断熱性の向上」を検討をしてみては如何でしょうか。

「疑問点」や「分かりにくい部分」などありましたら、「コメントバック」または「お問合せ」にて、ご連絡下さい。
また、「断熱」や「快適な暮らし」などについて、あなたの「お考え」や「経験談」なども、是非お聞かせください。

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