「実務経験 30年 以上」の「一級建築士・マンション管理士」によるマンション・団地の「疑問・お困りごと」・「大規模修繕工事の進め方」・「安心・快適な暮らしのヒント」などのアドバイスをする個人のブログです。

【より良い暮らし】マンション・団地 給排水管(後編)

【より良い暮らし】マンション・団地 給水管と排水管について(後編) 共用部分の配管

マンション・団地を身体に例えると

・コンクリートなどの躯体は骨や筋肉
・塗装やタイルは皮膚
・給水管は血管
・排水管は消化管
・電気・通信配線は神経

と言う感じでしょうか?
どれも重要ですね。
(「躯体」は「くたい」と読みます。柱・壁・床・屋根・梁などの事です。建物を形作る構造で取ったり換えたりする事は基本的には出来ません)

人の身体と同じで、建物も段々と老化(劣化)していきます。
人と同じように治療(修繕)する事が出来ます。
違う点は、悪くなったところは自然治癒はしません。ですが躯体以外は「交換」する事が出来ます。

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「給水管」と「排水管」について後編

専有部分だけでなく、「給水管」と「排水管」は共用部分にもあります。

主に大きく3つに分類されます。

① 住戸の外部にあるパイプスペースにある「竪管」

② 住戸の内部にあるパイプスペースにある「竪管」

③ コンクリート床下にある配管(下階の天井内)

(厳密には横引き管もあります)
(「竪管」は「タテカン」と読みます。「立管」と表記する場合もありますが、建築業界では「竪管」と表記する事が多いようです。なお、素直に「縦管」でも良いと思うのですがこの表記はあまり使われていません)

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共用部の給水管

給水管は通常は上記①「住戸の外部にあるパイプスペース」にあります。

住戸内の横引き管がコンクリートの壁を貫通して、共用部分にあるパイプスペースにある、「竪管」につながっているのです。どこまでが「共用部分」でどこからが「専有部分」なのでしょう。

一般的には「竪管」から分岐して「横引き管」が水道メーターに繋がっています。ここまでが「共用部分」でそこから先が「専有部分」となります。なお水道メーターは水道局からの貸与品です。

給水管の材質は以前は亜鉛メッキ鋼管でした。つまり内側をメッキした鉄の管です。
メッキははがれやすく、当然錆やすい材質です。
それを解消するために塩ビ ライニング鋼管が開発されました。
鋼管の内側に塩化ビニール管を挿入し、加熱して密着させて作るものです。
(コーティングは材料を塗って膜を作る工法で、ライニングとは違うものです)

これで飛躍的に防錆性能が上がったのですが、その工法ゆえに継ぎ手部分には塩ビ管をライニングする事ができませんでした。ここが弱点として残ってしまったのです。
その後、「管端コア」と呼ばれる樹脂材で出来たパーツを継ぎ手内側に差し込むことで、継ぎ手も錆びにくくすることが出来るようになりました。しかし、後から取り付けるパーツなので、施工時に取付忘れが発生する事態が多発しました。それを解消するために、最初から管端コアを内蔵した「管端コア内蔵継ぎ手」が開発されました。
近年では、鋼管自体を使わずに、自由に曲げることができるプラスチック系の材料の「架橋ポリエチレン管」を使うようになっています。継ぎ手は相変わらず金属系のようです。(すみません、この継ぎ手の防錆性能については不明です。調べておきます)
また、既存管を更新(交換)する場合には、ステンレス鋼管を使う場合もあります。鋼管よりすごく高くなりそうな気がするのですが、材料の厚みが薄く済むので、近年では鋼管より安く出来るようです。また軽量であるため施工性も優れているようです。

「断捨離」しましょう。

 

「より良い暮らし」には「断捨離」が不可欠

本当に必要なもの以外は、思い切って処分です。


共用部の排水管

共用部の排水管は多くが上記②「住戸の内部にあるパイプスペース」にあります。排水管は勾配が必要なので、あまり長く横引く事が出来ないためです。

住戸の床下でキッチンや風呂、洗面からの排水管を横引きしてパイプスペース内にある「排水竪管」につなぎこんでいます。
また、トイレの場合には便器のすぐ後ろにパイプスペースを設けて床上でつなぎこんでいる場合も多くあります。
※古い団地などではこの「排水竪管」がむき出しになっている場合もあります。

また、古いマンション・団地では、床が二重床になっていないため、風呂や洗面などの排水管がコンクリートの床を貫通して、下階の天井内で横引きされ、下階で竪管に接続している場合があります。

これを「スラブ下配管」と呼びます。
(「スラブ」とは「平板」という意味ですが、建築業界ではコンクリートなどの床版のことを指します)

「排水竪管」は上下でつながっており、みなさんで一緒に使っているので「共用部分」となります。厳密には継ぎ手までが「共用部分」でそこから住戸内の横引き管は「専有部分」になります。

「スラブ下配管」の場合は、みなさんで一緒に使っている管ではなく、その住戸だけが使っているものです。そこだけを考えると「専有部分」なのですが、あなたが、「スラブ下配管」を交換しようと思っても、その管があるのは「下の住戸」にあるので、手出しできません。こういった事から区分が曖昧になっていました。そして「スラブ下配管」からの漏水事故でその責任を問う、裁判となった事案がありました。2000(H12)年に最高裁判決で「スラブ下配管」は上階の区分所有者が維持管理できないので「共用部分に当たる」と解釈されました。そして漏水の責任は「管理組合」にあるとなったのです。

それ以降は、「スラブ下配管」は「共用部分」とみなされています。
「排水管」の材料は、多くは鋳鉄管(ちゅうてつかん)が使用されてきました。錆びにくい素材でかつ管厚が厚いので腐食にも強い管です。但し、雑排水管(トイレ以外の排水)の場合には亜鉛メッキ鋼管を使用している場合もあり、こちらは給水管で記載したように錆びやすい材質となります。

近年では、硬質塩化ビニル管(VP)(よく工事現場などに置いてある「灰色のプラスチックの管」です)にセメント系の耐火被覆をしたを耐火二層管(トミジ管)を使用しています。

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交換の時期

マンション・団地のこういった経過をたどりながら、「給水管」「排水管」の材質が変わってきているのです。
一斉に変わったのではなく徐々に変わってきているので、あなたのマンション・団地の配管の素材は調べてみないと分かりません。(図面があれば、それを見れば記載があります。無い場合には現地調査をする必要があります)

恐らく、「鋼管」を使っている年代のマンション・団地は既に30年程度は経っていると思われますので、給水管でも排水管でも「鋼管」を使っている場合には更新(交換)が必要だと考えます。

排水管が「鋳鉄管(ちゅうてつかん)」の場合には更新(交換)は「まだ必要ない」かもしれませんので、調査によって判断が必要となります。
(鋼管の耐用年数は、一般的には15年~30年程度です。40年も経つと漏水事故が多くなってきます)

さいごに

先に最高裁の判決にもありましたが「共用部分の配管」からの漏水は「管理組合の責任」となります。
(なお、余計な事ですが、管理組合は「誰か」が運営しているのではなく、あなたがその一員であり、当事者・責任者なのです)
保険に入っていれば、それで漏水事故の対応はできますが、事故が多くなってくると保険料が高くなったり、保険の更新を拒絶されてしまう場合もあるようです。また、「漏水事故」は一度遭遇すると分かりますが「恐怖」です。
怯えながら暮らすのは辛いですよね。

一つの目安としては3回目の大規模修繕工事の際に合わせて検討してみるのもアリだと思います。
3回目ですと、おおよそ30数年だと思いますので、ちょうど良いかと思います。
同時の工事でなくて良いです。大規模修繕工事も配管更新もお金が掛かるので資金計画も必要ですね。

排水管の交換は、住戸内に立入って、壁や床の一部を壊しての工事となりますので、居住者の方の負担はとても大きい工事です。
しかし、実際にやってみると何とかなるものなので、是非チャレンジしてみましょう。
なお、共用部分と合わせて希望者の専有部分の配管も一緒に交換するよう段取りする場合もあります。
但し、専有部分の配管交換の工事費は修繕積立金からの拠出ではなく、個人負担が原則です。

疑問点や分かりにくい部分などありましたらコメントバックまたは「お問合せ」にてご連絡下さい。
また、「給水管・排水管」などについて、あなたのお考えや経験談などもお聞かせください。

ご高齢の親御さんのみまもり

日々暮らしに、何気なく重要な事です。

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