【素朴な疑問】「団地」とは
あなたの素朴な疑問
知っておきたい基本的なこと
今回は、少しマニアックなテーマです。
「団地」が? と思うでしょう。
これが奥が深いのです。
私自身も、改めて確認しながら、本コラムを書いています。
一度で理解出来ないと思いますが、アウトラインだけでも「知っておく」と良いかと思います。
目からウロコみたいなこともあると思います。
※ここでは「住宅団地」を対象としており、それを「団地」と記載します。
はじめに
「団地」とは何でしょうか?
まず、思い浮かべるのは「同じような建物が何棟も集まって建っているところ」ではないでしょうか?
また、「アパートとマンションの中間レベルの集合住宅」とか「公団や都などが作った公共の集合住宅」という
イメージを持っている方もいるでしょう。かつては「あこがれの住まい」でもありました。
本コラムでは、「区分所有法」に規定する「団地」とは、何かをお伝えしたいと思います。
この規定に基づいて団地の管理組合が組織され、管理・運営されています。
管理規約も「区分所有法」をベースに作られています。
団地の定義
「団地」という用語の定義は、「区分所有法」にも「標準管理規約(団地型)」にも、記載されていません。
そもそも「団地」には、「住宅団地」だけでなく、「流通団地」「工業団地」などもあります。
計画的に1箇所にまとめて開発・建設した、土地と建物群を「団地」と称しているのだと思います。
「定義」ではなく、「通念」なのでしょう。
ここでは、「住宅団地」だけについて扱います。
国交省の「住宅団地」の実体調査では、「この調査における〈住宅団地〉の定義」として「調査」のための定義をしています。
そこでは、「同一敷地内に2棟以上の共同住宅が集団的(おおむね50戸以上)、かつ計画的に建てられているもの」としています。
これは、「通念上」の「団地」に近いでしょう。
しかし、「区分所有法」では、違っています。
一体ではあっても「同一の敷地内」であることは必須条件ではありません。
「土地又は附属施設がそれらの建物所有者の共有に属する場合」としています。
つまり、まとまって建てられた、それぞれの建物の所有者が「土地」又は「集会所など」を「共有」していることです。
なお、「土地」は、敷地全部でなくとも良く、「通路」の部分だけ「共有」していても良いのです。
「建物」は、「マンション」ではなく、「戸建」だけでも、両方あっても良いのです。
具体的には、以下のような「関係性」が考えられます。
- 「敷地全部」と「集会所」などの単独の建物を「共有」している。
これが多いタイプだと思います。 - 「通路」の部分の土地を「共有」していて、建物の建っている土地は、「それぞれで単独所有」している。
- 「集会所」の土地と建物を「共有」していて、建物の建っている土地は、「それぞれで単独所有」している。
など
建物はそれぞれ独立
上記のパターンがありますが、共通するのは、建物は「それぞれ」だということです。
「団地」の中にある、「マンション」(区分所有建物)は、単独のマンションと同じ扱いなのです。
つまり、住戸は「区分所有」であり、共用部分(マンション内の廊下やロビーなど)は、そのマンションの「区分所有者」の「共有」です。
「団地」の他の建物の所有者は「関係無い」のです。
つまり、「団地」として「共有」しているもの以外は、独立しているのです。
分かりやすい例で言うと、「大規模修繕工事」ですが、何となく団地で一斉に行なっていると思いますが、これはそれぞれの棟の「所有者」で決めて、別々に行なって良いのです。
当然、それには「会計」も別にしておく必要があります。
「標準管理規約(団地型)では、「修繕積立金」を「団地修繕積立金」と「各棟修繕積立金」とに会計を分けています。
それぞれの建物の「大規模修繕工事」の費用は、「団地」全体のものではないので、「各棟修繕積立金」から支出されます。
「標準管理規約(団地型)」では、「管理費」は会計を分けずに一つにまとめています。
この場合でも、「管理費の額」の算定には、「各棟」の管理に必要な額は、それぞれの棟で「共有持分」に応じて算出し、「団地」として「共有」している部分の管理に必要な額は、その部分の「共有持分」に応じて算出して、個々の「管理費」の額を決めます。
団地内の建物がすべて同じ形状であれば、細かく分けなくとも良いですが、建物がそれぞれで違っている場合などは、「全体管理費」と「各棟管理費」に分けても良いでしょう。
そのようにしている「団地管理組合」もあります。
管理組合と管理範囲
管理組合としては、「団地管理組合」と「各棟管理組合」と両方が存在します。
それぞれで「管理」すべき部分があるからです。
「管理」は「団地」と「各棟」とでそれぞれに行うことになります。
但し、「管理」という面では、「規約」で定めることによって、「各棟の敷地」や「各棟の共用部分」も一緒に「管理」することが出来ます。
この場合、「区分所有建物」の「共有」されている部分のみが対象となるので、「戸建」や「1棟丸ごと所有している賃貸マンション」は管理対象には、出来ません。
また、以下は一緒にすることの出来ない事項ですので、注意が必要です。
- 規約敷地を定める規約に関する事
- 敷地利用権に関する事
- 管理所有に関する事
- 義務違反者に対する措置に関する事
- 復旧や建替えに関する事
もう一つ、少し複雑になりますが、「団地管理組合」は、「共有物」を介して存在するので、「重層的」に存在する場合があります。
それぞれに独立して、存在する「A団地」と「B団地」とで、更にお互いに「共有する」、土地や附属施設がある場合には、「A +B団地」が成立します。
つまり、それぞれの「団地管理組合」の上に更に「A +B団地管理組合」が存在することになります。
さいごに
「団地」は、かなり複雑な「仕組み」ですね。
単に「共有物」を管理する団体として「団地管理組合」あるだけなのですが、それを法律として整理すると「複雑」になってしまいます。
そもそもの「区分所有法」自体も、考え方は、シンプルですが、厳密に定義するのが難しい「仕組み」です。
「共有」という概念自体が、矛盾をはらんでいるのかもしれません。
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