「実務経験 30年 以上」の「一級建築士・マンション管理士」によるマンション・団地の「疑問・お困りごと」・「大規模修繕工事の進め方」・「安心・快適な暮らしのヒント」などのアドバイスをする個人のブログです。

【マンション・団地 大規模修繕工事】(その3)コンサルタント(設計・監理)について

マンション・団地大規模修繕 コンサルタント(設計・監理)について
発注する業務の内容・選定の方法など

マンション(団地も含めて)の大規模修繕工事について、管理組合(理事・修繕委員)、あなたに理解してほしいことこと

はじめに

マンションにお住まいですと、いつかは大規模修繕工事に直面します。
そんな時にあなたが「具体的にどうしたらいいんだ?」という疑問にお役に立てるヒントを、出来る限りシンプルにお伝えできればと思います。
今回はその3回目となります。初めての方でも分かるよう解説したいと思います。

※ここでは正確さより分かりやすさを優先した解説にしています。
もし、分かりにくいところ・疑問点などや、ご意見が有れば、コメントバック又はお問合せください。

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基本的なこと

そもそも「マンション大規模修繕コンサルタント」という名称自体、ほとんどの方は知らないでしょう。
国などの行政や業界団体などで正式に決められた名称でもありません。
最初に「マンション大規模修繕コンサルタント」の基礎的な事を箇条書きでお伝えします.

  1. マンションの大規模修繕工事の最初から最後までに関わる専門家です。
  2. 管理組合(あなた業務を直接発注します。
  3. コンサルタントではなく「設計・監理」という場合もあります。
  4. 管理会社でも工事会社でもありません、別の存在です。
    管理会社や工事会社がその役割を兼ねる場合もありますが、デメリットがあるのでお勧めしません。(詳細は別コラム「マンション大規模修繕工事の進め方(その1)」を参照ください)

発注する業務の内容

通常は以下の業務を発注します。
(最初のところで困った場合にはマンション管理士に相談すると良いと思います)

① 建物調査

② 大規模修繕設計(説明会含む)

③ 工事業者選定支援

④ 工事監理

発注する業務①
「建物調査」

建物の状態を正確で詳細に把握するために行います。(建物診断という場合もあります)
主に「劣化度調査」と「アンケート調査」になります。


「劣化度調査」は、コンサルタントがあなたのマンションに実際に来て、調査を行います。
壁の状態を把握するために「打診」をしたり、塗装の一部を剥がしてみるなどの「試験」をしますが、主は「目視」による調査となります。 なお、あなたの住戸の中には、基本的には入りません。(バルコニーを見るために住戸の中を通る場合はあります)大規模修繕工事は住戸以外の「共用部分」のみが対象となります。
(「共用部分」は住戸内、以外の建物の部分の事です、バルコニーや窓も共用部分です)

「アンケート調査」は、コンサルタントが一部だけしか見られないバルコニーの状況について確認することを主の目的としています。その他に日々暮らしていて、あなたが知っている「不具合」などについても確認をします。アンケートを取るとあまり書いてくれない方が多いのですが、実は大変重要なので良く思い出して記入してもらえると良い大規模修繕工事につながると思います。

・例えば大雨や台風の時に水が溢れるなどの不具合ありませんでしたか?
(晴れの日にコンサルタントが見に来ても分かりません)
・過去にどこかから雨漏りや漏水はありませんでしたか?
(過去の事もコンサルタントには分かりません)
・今は直っているが、過去に何度も傷がついたり塗装が剝がれるなど不具合を繰り返している部分はありませんか?
 (そう言った「今」ではない不具合もコンサルタントには分かりません)

大規模修繕工事がすべて終わってから「なんでここを直さないのか?」という方がいます。悪気はなく、工事を終えてほとんどの部分がきれいになって、初めて気が付いたのだと思います。また、専門家なんだから言わなくとも分かるだろう、素人が余計なことを言ってはいけないと思う方もいます。でもそれは、誰にとっても得になる事ではないですよね。住んでいるあなたが一番、自分のマンションの事を知っているのです、工事前にもう一度真剣にあなたの知っている不具合を探してみましょう。そして、コンサルタントにお伝えしましょう。

発注する業務②
「大規模修繕設計(説明会含む)」
(単に修繕設計や改修設計という場合もあります)

前段の建物調査を基に修繕する内容・範囲・仕様を決定します。
また、それに基づいて工事費を想定をし、「工事予算(案)」を作成します。
修繕の内容は、大きな分類で言うと一般的には「防水」「補修」「塗装」の3種類になります。
(詳細は別コラム「マンション大規模修繕工事の進め方(その2)」をご覧ください)

工事費の想定は、調査結果と、これまでの事例などから算出します。
但し、修繕工事の難しいところは常に「想定外」があることです。
せっかく総会で工事費を承認してもらっても後から、予想外の事態対応のために、追加費用が掛かる場合があります。
当初に決議した、予算をオーバーしてしまうと、総会決議が再度必要となってしまいます。
ですので、最初から予備費を想定し、それを加えた「工事予算(案)」として総会決議をとることをお勧めします。

予備費をどれだけ見込むのかは難しいところですが、

・1回目の大規模修繕工事であれば、想定工事費の5~10%

・2回目の大規模修繕工事であれば、想定工事費の10~15%

・3回目以降の大規模修繕工事であれば、想定工事費の15~20%

程度は見込んでおきたいところです。(もちろん税込み金額で)
この予備費は使わずにすめば、支払わなくて良い費用です。

ここまで決まった段階で「大規模修繕計画の説明会」を開催します。
工事の内容や予算を所有者の方にコンサルタントからお伝えする会です。
賃貸などしていて、住んでない所有者の方にもお知らせをします。
逆に住んでいる賃借人の方へは説明は必須ではありません。但し、少なくとも大規模修繕工事を予定している時期だけは事前にお知らせしておいた方が良いでしょう。

発注する業務③
「工事会社選定支援」

通常は、この業務も一括してコンサルタントへ発注します。
しかし、ここが「不適切コンサルタント」が行う「不適切」な部分なのです。
面倒なのですが、この部分だけは「マンション管理士」へ委託することが良いと考えます。

詳しい内容は次の「マンション大規模修繕工事の進め方(その4)」でお伝えしたいと思います。
本稿では、大規模修繕の設計が終わり、説明会が終わった後に「工事会社を選定する」という流れを理解して頂ければと思います。
なお、最終的に工事会社と契約金額と工事予算は、総会で決議します。タイミングによっては臨時総会を開催します。

発注する業務④
「工事監理」

工事会社が決定して、いよいよ工事開始です。
工事が図面通りに出来ているか、間違っていないか、やり残しは無いか、スケジュールは遅れてないか、などを現場や書類などの確認や検査をします。
また、工事会社と大規模修繕工事担当の理事や修繕委員との間に入ってコミュニケーションを取り持ちします。
月1回程度、理事・委員、コンサルタント、工事会社とが集まって「定例会議」を行う場合もあります。
最後に工事が完了したことを確認して理事・委員に報告をして業務完了です。

オプションで「長期修繕計画」の作成を依頼する場合があります。
大規模修繕工事が終わった段階で、その時の建物を状況を一番正確に把握しているコンサルタントに依頼するのが合理的と判断できる場合です。通常は管理会社に依頼をする業務であり、しっかりした管理会社であれば、コンサルタントに委託せずに、管理会社へ依頼しても構いません。

最後に


今回のコラムの内容は、複雑だったと思います。今後も分かりやすくなるよう改善していきたいと思っています。
まずは、今回の内容から「流れ」と「概要」を理解して頂ければと思います。それを踏まえて、マンション管理士やコンサルタントに相談するのが一番です。
また、本ブログにメールで「お問合せ」をして頂いても結構です。
悩んでいることを教えて頂ければ、そのポイントについて詳しく解説も可能です。(無料です)

疑問点や分かりにくい部分などありましたらコメントバックまたは「お問合せ」にてご連絡下さい。
また、大規模修繕工事について、あなたのお考えや経験談などもお聞かせください。

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