「実務経験 30年 以上」の「一級建築士・マンション管理士」によるマンション・団地の「疑問・お困りごと」・「大規模修繕工事の進め方」・「安心・快適な暮らしのヒント」などのアドバイスをする個人のブログです。

【災害・防災】マンション・団地 自然災害:台風対策

【災害・防災】マンション・団地 自然災害:台風対策

最近、「台風」が「より強力」になってきているように感じていませんか?
どんな対策をしておくと良いかを考えてみたいと思います。


WikiImagesによるPixabayからの画像

「プロ」が選んだ防災セット

いざという時に必要です。

「プロ」が選んだセットなので「安心」

1セットは用意しておきましょう。


自然災害:今後の予想

国(国交省)では、2015(H27)年に『新たなステージに対応した防災・減災のあり方』を公表しました。
「概要」の冒頭で、現状について、以下のように表現されています。

  • 時間雨量が50mmを上回る豪雨が全国的に増加しているなど、近年、雨の降り方が局地化・集中化・激甚化
  •  平成26年8月の広島ではバックビルディング現象による線状降水帯の豪雨が発生
  •  2013年11月にはフィリピンにスーパー台風が襲来
  •  大規模な火山噴火等の発生のおそれ

これらを『既に明らかに雨の降り方が変化していること等を「新たなステージ」と捉えて』として、状況の分析を行い、以下のようにまとめています。

  • 最大クラスの大雨等に対して施設で守りきるのは、財政的にも、社会環境・自然環境の面からも現実的ではない。
  • 「比較的発生頻度の高い降雨等」に対しては、施設によって防御することを基本とするが、それを超える降雨等に対しては、ある程度の被害が発生しても、「少なくとも命を守り、社会経済に対して壊滅的な被害が発生しない」ことを目標とし、危機感を共有して社会全体で対応することが必要である。

つまり、対策は「完全には出来ない」と結論を出しているのです。

本文の対策の中で『自然災害から命を守るためには、まず住民が自分の住んでいる場所等に関する災害リスクを認識し、自然災害に対する「心構え」を持つことが重要である。』と言及しています。

この記載は、「ハザードマップ」などの重要性への「認知が足りていない事」への言及ですが、「災害対策」全般に当てはまることだと思いました。
(上記の記載は報告書の一部を「切り抜き」したものです、正確に知りたい方は、「国交省 新たなステージに対応した防災・減災のあり方」とネットで検索すると出てきますので、ご覧ください。非常に興味深い内容になっています。)

災害時に「長時間」使える「大容量」蓄電池

非常の際の電源確保は最重要課題です!

台風の恐ろしさ


Free-PhotosによるPixabayからの画像

先の国交省の資料には、以下のように記載があります。

『日本周辺をみても、2013 年 11 月にフィリピンを襲った台風 30 号は、上陸時の最低気圧が 895hPa を記録する、いわゆるスーパー台風であり、死者・行方不明者 7,000 人以上、被災者約 1,600 万人に及ぶ大きな被害をもたらした。
さらに、今後、地球温暖化に伴う気候変動により、極端な降水がより強く、より頻繁となる可能性が非常に高いことが、IPCC(IntergovernmentalPanel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)の報告書においても示されている。』

この、2013年の台風30号について調べてみました。
この台風は、「スーパー台風」に定義されており、名前を「ハイエン」といいいます。
「スーパー台風」とは米軍合同台風警報センター (JTWC) による、もっとも「強い区分」の台風の事です。

この「ハイエン」は、「最大風速65m/s」、「最大瞬間風速90m/s」にもなるもので、「暴風」と「高潮」によって、大きな被害を出したのです。

近年の日本では、2019年に「台風15号」と同年の「台風19号」により、大きな被害が出ている事は、記憶に新しいと思います。
特に「台風15号」は、関東各地で「記録的な暴風」を残していきました。 

千葉のゴルフ練習場のネットが倒壊して、その支柱が民家の屋根に直撃しました。
この時の千葉での瞬間最大風速は「57.5m」です。
また、かなりの地域で「停電」が発生しています。

今後、日本に上陸する台風は、どうなっていくのでしょうか

「増えるのか」
「強くなるのか」
「風速80m/sや90m/sとなる可能性はあるのか」

国交省では、明確な結論には至っていないようですが、気象庁気象研究所や財団法人地球科学技術総合推進機構を中心とする研究グループによると、21世紀末に向けて、全球的には「熱帯低気圧」の「発生は減少」するが、「非常に強い熱帯低気圧」の「出現数は増加する傾向」にあると言及しています。

やはり、「新たなステージ」と捉えておくことが必要であり、「暴風」と「高潮」の対策が必要だと思います。

「プロ」のハウスクリーニング

 

数年に一度くらいは「プロ」に家のクリーニングをしてもらいましょう。

マンション・団地の大規模修繕工事と同じです。


強い台風への対策

●暴風対策


_Alicja_によるPixabayからの画像

普通のマンション・団地には窓に「雨戸」や「シャッター」はついていません。
「暴風」に対して、「窓」は非常に「無防備な状態」にあります。

サッシは「建築基準法」によって「耐風圧性」の確保が義務付けられています。
様々な条件で「耐風圧性」を決めるのですが、主たる条件に「建物の高さ」があります。
3階建てですと、JIS等級のS-3というクラスで「風速51m/s」程度への対応となります。
また、JIS等級で最大のS-7は「 風速76m/s」程度への対応となっています。

つまり、以下のような「心配」がありそうです。

  • 低層のマンション・団地では「風速60m/s」以上に対応していない
  • 高層のマンション・団地でも、「スーパー台風」と呼ばれるような「風速80m/sや90m/s」級には対応していない

沖縄などでは、戸建て住宅でもJIS等級のS-5「風速62m/s」対応のサッシを使ったりも、しているようです。
しかし、それでも「スーパー台風」と言われるような、「災害級」の台風に対しては、万全ではありません。

また、この「耐風圧性」はあくまでも「風」に対するものです。
風によって飛んできた、「飛来物」に対してではありません。

「耐風圧性」は窓ガラスも同様です。
一般の低層のマンション・団地に使われている「5㎜」程度の窓ガラスは、すぐに割れますが、高層マンションなどに使われている「8㎜」や「10㎜」以上の窓ガラスは、とても丈夫なのです。
先の尖った器具などを使わない限り、ちょっとやそっとでは、割れる事はありません。

しかし、「暴風」の際には何が飛んでくるか分かりません。

2019年の「台風15号」で「風による大きな被害」が出たため、同年の「台風19号」の際には、ガラスに「×印」や「米印」に養生テープやガムテープを貼ることで、飛来物などにより、窓ガラスが割れてしまうのを防いでくれるという対策が「はやり」ましたね。

ですが、実際には「割れ対策」には、「あまり効果が無い」ようです。また、後で剥がすのが非常に困難で、大変なおもいをされた方が多かったようです。

沖縄などでは、「ゴルフネット」「農業用ネット」「防鳥ネット」を、「防風ネット」として使うそうです。

防風ネット」に転用できる転落防止ネット

暴風の際の飛来物を受けるクッションになります。

沖縄などではネットを貼るのが当たり前です。

ガラスにテープは効き目がありません・・・・

「ネット」を窓の外に斜めに張って、飛来物に対する、「防御対策」をするのです。
これですと、クッションとなるので、仮に窓ガラスに飛来物が当たっても、その威力が軽減されているので、割れるまでにはいたらないのです。
バルコニーに面した窓には、その対策が「有効」だと考えます。
それ以外の部分の窓はカーテンを閉めておき、割れても室内に散乱しにくくする事が有効でしょう。

本当に「スーパー台風」が来るような事態になった場合には、「上記の対策」をした上で、比較的安全な施設に「避難」することも考えた方が良いでしょう。

●高潮対策

こちらは、「海沿い」「川沿い」のマンション・団地の場合に対策が必要となります。
地下や1階に「電気室」などがある場合には、水没による被害が生じる、危険性があります。


733215によるPixabayからの画像

地下への出入り口などに「防潮板」「止水板」と呼ばれる、高さ50㎝~1m程度の、水が浸入することを防ぐ「板」を設置できるようにしている場合があります。
しかし、マンションの1階全体が「高潮」に浸かってしまった場合に、その対策がどこまで有効なのかは疑問です。
つまり、どこからか「水」が浸入してしまうのではないかと考えます。

例えば、エントランスからエレベーターホールまで浸水して、エレベーターシャフトから、「地下へ流れ込む」という事も想定できるという事です。
また、地下からの「排気口」などから、浸水してしまう事も考えられます。

「東日本大震災後」に、オフィスビルやマンションなどで、「新しく計画」するものは「地下に電気室を作らない」というルールにしたところが多くありました。
しかし、「喉元すぎると・・・」という言葉があるように、「地下に電気室を設けている」建物は現在も多く作られています。

また、「東日本大震災以前」の建物の場合の多くは、地下または1階に「電気室」を設けている事が「非常に多い」のです。
「電気室」だけではなく、地下や1階には「機械室」が集中しており、「受水槽設備」「通信設備」「非常用発電設備」などがあります。

「高潮」などの際に、こういった「設備室」に水を浸入しないように、「完全隔離」できるような「仕組み」に出来ると良いのですが、そのような「仕組み」は、少なくとも私は見たことがありません。

やはり、想定される水位より高い位置に「電気室」などを設ける事が「最善の対策」だと考えます。
しかし、「既存」の建物では、そこまでするのは相当ハードルが高いでしょう。

「見たことがない」と先に述べましたが、「現在進行形」で対策が進んできています。

浸水をして「停電してしまった」タワーマンションでは、販売した事業主や、建物を設計・施工した会社が「調査チーム」を編成し、その結果を元に「出来る限りの対策」を講じたようです。
その上で、非常時には「屋上の受変電設備」を、地下と切り離して使用できるように「配線系統」の変更を検討しているとの事です。

川沿いに建つ、ある病院では、「水防ライン」を2重に設定して「浸水対策」を講じた事例もあるようです。

国交省と経産省で2019年に「検討会」を立ち上げて、2020年には「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」を発表しています。
高潮対策をする場合には、その「ガイドライン」を参考にしながら、「建築設計事務所」などに依頼をして、本格的に検討をして対策を立てる必要があると考えます。

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備えておきたいセットです。



さいごに

今後、「スーパー台風」が日本に上陸するようになるかは、分かりません。
しかし、その「可能性は高い」のではないかと思います。(個人的な見解です)

そうしたときに、マンション・団地は、あまりにも「無防備」に見えます。
大袈裟になってしまいますが、これから「人」は「地球の自然環境」と「厳しく対峙していく時代」になっていくのではないかと感じています。

ますます増大する(かもしれない)「自然災害」に立ち向かう術(すべ)を、今のウチから準備できると良いと思います。
「どこまですれば良いのか」は非常に悩ましいですね。
まずは、出来るところから、始めるしかないと思います。


Hands off my tags! Michael GaidaによるPixabayからの画像

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興味のある方は別コラムもご覧ください。

「災害時の対策:蓄電池・発電機」https://watnav.com/wp-admin/post.php?post=647&action=edit

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